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いけばな小史/「一期一会」(1)
志村みづえさんの作品、いけばな小史を日替わりで生けてゆくプロジェクト「一期一会」
の画像を織り交ぜて紹介しながらいけばなの歴史をレポートします。
(志村みづえさんと斎藤ちさとの共同研究の記録です)

志村さん曰く
「いけばなとは宇宙観の表現」
室町時代に成立した「立花」(りっか)はもともと床の間に生けられました。
背景の描け軸が本尊という考え方で、その手前に香炉・燭台(火立)・花立を配し
圧縮された宇宙を出現させるインスタレーションなのです。

「いけばな」の歴史から日本の文化を考えること、美術を考える事、また鑑賞
について考える事は、日本発アートにとっての単にオリエンタリズムに留まらない
豊かなヒントが隠されています。

参考文献:
朝日新聞社 朝日百科 植物の世界14植物と人間の暮らし
東京江戸博物館展覧会カタログ:特別展いけばな 歴史を彩る日本の美
草月出版:草月のいけばな3,4
IBCパブリッシング:日本の伝統文化(山本素子著)
講談社:花が時をつなぐ(川崎景介著) 
岩波文庫:茶の本(岡倉覚三著)他



日本で最初に花を生けた人物は聖徳太子とも小野妹子とも説がある。
唐では仏像の前に花を捧げており、遣唐使から帰還した小野妹子が、
その習慣を持ち帰り日本に定着した。
仏前供花がいけばなのルーツだという説が一つ。

その一方で、古来の神事に用いる「依り代」がいけばなのルーツである。という説もある。
高い樹木や大きな石などに神霊が宿る。という民間信仰から神事の際に
常緑樹などを高くかかげて神を招く習慣は、現在でも神社や神棚の榊などに
見る事ができる。


志村みづえ:神に捧げる花「入我我入」 榊、菜の花 2006.02.01



少し時代が下って、平安時代に空海が開いた高野山金剛峰寺で今でも行われる僧侶の勉強会
、勘学会(かんがくえ)で供えられる五段華。
定められた花材を束ねて順次立てて5段に仕立てている。



「金銅蓮華花瓶」(こんどうれんげけびょう(観心寺/大阪) 鎌倉時代 重要文化財


現在の形式の「いけばな」の原型が成立した時代は室町といわれている。
書院建築の発展と共に座敷を飾る「立花」が登場する。

足利将軍家の書院飾り


「文阿弥花伝書」三巻(鹿王院/京都)室町時代

もともとは、仏像+五具足または三具足(香炉・燭台(火立)・花立)というセットで
あったが、掛け軸+三具足→掛け軸+立花という形式に変化してきた。
「立花」の担い手は主に同朋衆と呼ばれる足利将軍に仕えた芸術集団で、
阿弥号を持って剃髪し、立花、茶湯、香、連歌などの一芸を持ち、唐物選びや座敷飾りを
して客人との遊興の場を作ったりしていた。
また同朋衆と並行して、京都の六角堂を拠点とする池坊専慶という名人を中心にした流派
(池坊)が現れ、「立花」は庶民の間にも広がり始め、深まっていった。



志村みづえ:「立花」アスパラガスミリオングラダス、珊瑚水木、雪柳、紅梅、アイリス、小菊 2006.02.0

花器に対して中心になる枝を高く立てるスタイルから「立花」と呼ばれた。


安土桃山時代に入ると、「立花」が華やかに台頭する一方、禅の思想と結びついた簡素さを
追求する「わび茶」が登場した。
茶室の隅に精神の象徴として。一輪か二輪の花が用いられるようになる。


志村みづえ:「茶花」青こごめ、たらの芽 2006.02.03


江戸時代の後水尾天皇は芸術家を厚遇し、宮中でも立花の展覧会を催し、
才能次第では身分の貴賎を問わず、町人にまで参加を呼びかけて展覧会を盛り上げた。
という記録が残っている。
大型の作品も制作されるようになり、立花はしばしば床の間を離れ自立して鑑賞されるよう
になった。





また庶民の間で素朴に行われてきた投げ入れが江戸時代に入り定着してきた。
投げ入れと言っても、投げるように入れる。という意味ではなく
「花を立てるだけでなく、曲げて入れても構わない」という意味。
この形式は現在も多用されるいけばなのスタンダードとなった。


志村みづえ:「投げ入れ花」赤蔓、小手鞠、百合 2006.02.04
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