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水色見本帖


飲んだお茶の記録をSNSで取ってきましたが、昨年末よりお茶を「彫刻」や「絵画」と
見立てる、また味覚と視覚の領域をクロスさせるような視点を持つことは可能か?
と、考えるようにりました。
頭を整理するためテキストを書いておきます。
今後どのような形式でまとめるかは、もう少し考えてみたいと思います

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水色見本帖

パンデミックで家にいる時間が増えて、段々と色々な種類のお茶を試すようになった。
煎茶、ほうじ茶、紅茶、釜炒り茶、烏龍茶、普洱茶、そして抹茶。
お茶にはカフェインが含まれていて、気分を変える効果がある。
お茶は香りを楽しみ舌で味わう嗜好品で液体なので形がない。
それで視覚で何が抽出できるかと言えば、当然「色」なのだ。
茶の抽出液の色彩は水色と書いて「すいしょく」と読む。
ガラスの耐熱カップに入れた茶は午前中ならニュートラルな色で撮れる。

この水色(すいしょく)は茶の製法により違ってくる。
大雑把に書くと茶は酸化発酵させると水色に赤みが入る。
烏龍茶など多少の酸化ならオレンジ色になるし、完全に酸化させた紅茶は紅い。
普洱茶に代表される黒茶は酸化発酵ではなく微生物に発酵させている。
(本来の意味での「発酵」)
それに対して煎茶や抹茶、中国や台湾の緑茶は発酵させない。
白っぽかったり黄色いあるいは鮮やかなグリーンのお茶。
ややこしいのはほうじ茶だ。ほうじ茶は発酵ではなく、酸化重合により茶色くなっている。
また、水色は湯量や茶葉の量とのバランスでも濃くなったり、薄くなったりする。
それはさておいて、地球上のいたるところで人類は茶を愛好してきて、この色を長い時間をかけて眺めてきた。

その水色を記録する。
画面の1/3~1/2くらいのスペースに茶を納めて、菓子にピントを合わせ、
水色をぼんやりとした色面として扱うルールを決めて、淡々と試行錯誤を進めていくうちに
ある抽象絵画が気になった。
モーリス・ルイスの<ヴェール>のシリーズだ。


MOMA所蔵 《あずき色》

このシリーズは絵の具を画面の上から絵の具を何重にも垂らしていく技法で作られていて、
画面の上で絵の具が混じり合って微妙な色が出現している。
小学校や中学の図工や美術の時間に絵の具を使った時に、バケツで筆を洗ったことを思い出してほしい。
複数の色を洗った後のバケツの水の色、何とも言えない赤茶色を。
あらゆる絵の具の色が混じり合うと、茶色っぽい色になる。
そのような原理を使ったあずき色の絵が上の画像だ。
絵の具が混じり合うことで、それぞれの色がお互いを食い合い茶色となる。
それに対して、カメラが捉える水色はRed,Green,Blueの3色の光の重なりで出来ている。
RGBの光を集めた水色を、物質としての絵の具の色と対比させて見れないだろうか。
と片目で意識しつつ考えながら作ることを試みている

斎藤ちさと
茶の縁


2021年2月19日の金曜日は不思議な日でした。
長らく音信不通だった茶友と再会したり、
探していたものが見つかったり、補充したり、頂いたり、注文届いたり。
画像にあるお茶が1日で手元にやって来たのです。

こんなことは珍しいので記録したいと思います。

上段左から:抹茶チョコレート(星野園)、ほうじ茶・天空農園(うおがし銘茶)
普洱茶・布朗大樹、武夷岩茶・金観音(小梅茶荘)、烏龍茶・鉄観音(お茶の専門店HOJO)
右:白茶・古樹白茶(お茶の専門店HOJO)
下段左から:煎茶<朝宮茶>・比叡(滋賀県茶業会議所)日吉茶園(中川誠盛同茶舗)
煎茶<大和茶>・月ヶ瀬浅もみ煎茶(お茶の専門店HOJO)、サンプルいろいろ

5年ほど深蒸し製法の煎茶に親しんで来ましたので、より古典的なお茶を
知りたいと思い、日本茶の歴史上古く所縁のある比叡山の麓あたりと
南都と呼ばれた古都奈良のお茶を取り寄せました。
「朝宮茶」と呼ばれる滋賀県のお茶は、最澄が遣唐使の帰国の時に持ち帰った種子を
撒いたのが始まりだそうですし、
最古の茶関連の記録は、かつて都のあった奈良で僧が聖武天皇に「荼」(苦菜と考えられる)
を献上したとありまして、この辺りに自生していた茶の樹が「大和茶」になって行った
とも考えられていて、お茶の歴史と仏教の歴史は切り離せないな。と。
美術もお茶もなんでもかんでも日本文化は仏教の歴史を知ることからなんだなー。
いろいろ繋がって来て何だかワクワクしますね。
繋がりもまたご縁ということで。

また日本茶のルーツである中国茶への興味も尽きません。
最近、中国茶マスターの友人から沼認定いただきましたし(笑)
ゆるゆる楽しく研鑽を積ませて頂く所存です。
「ソーシャルディスタンスに配慮した」お茶会は可能だろうか?


「またお茶会出来る世界が早く戻りますように!」
最近、お茶友達とやりとりした後の挨拶にこんな言葉が交わされるようになりました。
こんなことになろうとは1年、いや半年前にも予想もしなかった世界を今私たちは生きていて
、しかもそれは想像以上に長い期間になりそうなのです。

この事態が来るだいぶ前からギャラリーカメリアの原田直子さんとお茶イベントを
計画していました。
2月には食品衛生責任者の資格を取り、意見交換を重ね粛々と準備を進めて、
今はどのような形ならば実現可能か協議を重ねているところです。

お茶会といえば、茶道ならば小さな座敷で親密にお菓子をいただいて、
同じお茶碗で回し飲みをしたりします。
いわゆる「密」というのにストレートに該当します。
また私が仕事で携わってきたようなお茶イベントも複数名でテーブルを囲んだり「密」の状態になり易い。
お茶は人と人を密にさせる性格のメディウムであるし、
「お茶を飲む」は「(酒を)飲みに行く」と同義で
おしゃべりする、腹を割って話すことの置き換えでもあって、
それが「お茶を飲む」醍醐味だったはず。
それらを捨てなくてはならない状況に今なっています。

では、「ソーシャルディスタンスに配慮した」お茶会は可能だろうか?と考えて可能性を探っています。
つまり人と人が距離を持つことを肯定的に捉えられる場。ということ。

2メートルのテーブルの端に座って2人。ビニールで仕切れば3人、ギリギリ4人行けるかな。
会話は静かに発声するか筆談、または喋らない。
淡々としたアイコンタクトを対話の核としてお茶を味わう。静かな時間を共有する。
というのがルール。

茶道ではない「お茶を飲みましょう」は「おしゃべりしましょう」を意味する言葉だったのが、
本当に言葉通り「お茶を味わう」「静かな時間を過ごす」に変更可能なのかどうか、と考えます。
その時間を供にするのは静かな時間が苦痛でない相手で、
同席する人同士の信頼関係が最低限必要になります。
そこは茶道のお茶会にヒントがありそうですが。 静かな新しいコミュニケーションが開ければ良いな。

紅茶以外の日本茶(抹茶、玉露、煎茶、ほうじ茶)にはエピガロカテキンガレートといって
ウィルスの働きを抑制する成分があります。
そのカテキン成分はcovid-19にも効果を表すと何人かの医師がレポートを書いています。
ウィルス本体から出ているモケモケの部分をカテキンが覆って、ウィルスの働きを無効化
するらしいから、最近はその場面をイメージしながらお茶を飲むようになりました。
茶カテキンが今後人類の味方となってくれるのを願うばかりです。



釜炒り茶作り(2)



工場の茶葉で作ったお茶が良い感じだったのに気を良くして、
実家の茶の樹の葉も詰んで炒って見ました。。
葉が少し育ちすぎな感もありましたが、まぁやってみましょうと。
量もそれほど採れないせいか、火の入りが早く、炒って揉んでも数回で
形が崩れ、焦げる気配になってきたので火を止めました。



やはり(1)に比べるとあっさり、そして火が強く入ったせいか水色も茶色がかって
ほうじ茶の趣でもありました。
なかなか思い通りに作るのは難しいけど、これはこれで面白いかな。
釜炒り茶作り(1)



先日、職場の研修で静岡工場見学に行って茶摘みもしてまいりました。
顔見知りのスタッフの方が管理している無農薬無肥料で栽培する茶畑の茶葉。
久しぶりにお茶自作しました。
プロから分けていただいた茶葉で作るお茶、贅沢!
一昨年、実家の木の葉で作って以来です。
煎茶の場合、茶葉を発酵させないのでとにかく摘み取ってきたらすぐに蒸して発酵を止めなければ
なりません。
が、私が作るのは釜炒り茶(ウーロン茶に近い)ですので一晩くらいザルに置いて萎凋しても良いかもね。
ということで一晩置いてから炒りました。
朝起きたら、茶葉がザルの上で甘い香りを放っていて幸せな気持ちに。


炒って揉んでを繰り返すこと一時間強。
生葉がお茶の香りに変わってきて火を止めました。


会社に持って行って試飲しました! 綺麗な黄色金色出来て嬉しい!
For all people loving Japanese tea ,sencha.



How to make delicious sencha

1) Put 1teaspoon(5g) of tea leaves into the teapot.

2) Pour first hot water (at 80~90 degrees) from the pitcher into the teapot.
(to extract the most authentic flavor from the leaves)

3) Gently pour the tea at 2 or 3 times.

4) Take the teapot handle by your left hand, softly tap on the back side of
the teapot by your right hand, for making empty space around the strainer.

It’s OK, to move the tea leaves away from the strainer.

5) Add second hot water at empty space.

6) More gently pour the tea a little 2 or 3 times.

7) Have a nice tea time!!!!!!!!!!!


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煎茶:Leaves from the first crops that are steamed and dried.

抹茶:Powderd tea made from young leaves,used in the traditional tea ceremony.

番茶: Hard leaves and stems from late in the tea picking season that are
steamed and dried.

ほうじ茶: Tea made with roasted sencha and bancha.

玄米茶: Sencha mixed with rice popcorn.

釜炒り茶: Pan fired tea. This tea has manufactured in the district KYUSHU
since Muromachi period (about 500 years before).
読み解く


家の常備茶葉を並べて見ました。左から
抹茶/釜炒り茶/紅茶/煎茶/ほうじ茶
温度の目安は
80/95/100/85/100
といったところですが、あくまで目安で
甘みや柔らかさ、旨味を加えたいなら若干下げ、苦味またはすっきりさせるなら熱めに。
茶葉の状態を見ながら調整していきます。

熟練の茶師の方々は同じ銘柄のお茶であっても、季節や年度の特徴や焙煎の具合で淹れ方を変え、
その茶葉に合ったベスト〜ベターな煎れ方を模索しているのを何度か目撃しました。
当初、同じお茶でなんでこれほど煎れ方を神経質に変えるかな???なんで??
と不思議に思っていましたが、その時その時の茶葉の状態を読んで
お湯の量や温度を調整しているのだと段々と理解してきました。

お茶はもともとお茶の樹からむしり取った葉で生き物です。
天候や肥料や育てられ方で毎年状態が変わります。
茶師は葉を見て焙煎をコントロールしています。
茶葉には茶師の作意が働いているのです。
なのでお茶を淹れる時、お湯の量と温度で、茶師が込めた意図を読み込むように心がけます。
場合によっては、茶葉のポテンシャルを最大限に引き出すことで、茶師の意図すら超えた
味を出現させたいという野心すら持っていますから(笑)。

以前若手の茶師さんが「このお茶は僕の作品」と嬉しそうに言っていました。
その時内心びっくりして以来考えていたのですが、
最近ようやく腑に落ちました。作意が添付されているのだもの。すっきり。
ただしその作意は非常にささやかなので、気をつけないと見落とすようなもの。
だから茶師の意図を読み解きたい。と思いつつ。日々お茶を淹れています。
そう思っていると、凄く面白いですよ!
茶師との関係が、まるで作曲と演奏者の関係のようでもありますし、とても楽しい!。

また淹れる時使う脳みその部位は恐らく、絵を描いたりする部分と同じ。
これについてはもう少し研究します!!
Tea Plantation


茶畑と工場見学



先日、茶職場の研修で静岡島田と牧ノ原の工場に行ってきました。
今年は暖冬の後、2~3月にかけての冷え込みで出かかった新芽が留って
茶葉の生育が遅れているようですが、その分ゆっくり成長して旨味が備わったとのことで
新茶なのに味わい深いお茶が飲める珍しい年になるそうです!何と!


煎茶用の茶葉は1年分を新茶の時期に摘み取って、「荒茶」という状態にして寝かせつつ
時期時期で焙煎して使っていきます。
上の画像は荒茶になるまでの行程、蒸して揉んで乾かしをくりかえします。







たくさんの行程やスタッフの手を経て生の葉が美味しいお茶へと変貌するのですが
この作り方を最初に考案した人は本当に凄いな。


会社の畑で無農薬無肥料で育てている新芽たち。
この新芽を摘み取ったものでお茶を作ります。まさに「若い芽を摘む」という行為でして人間の業を感じました。
大切に飲まなくては。。。

*番茶やほうじ茶は新芽を摘み取った数ヶ月後、再び生えてきた芽を摘み取って作ります。

 お茶は茶の樹が人間に生命力を分けてくれているのを飲んでいるのですね。
茶葉を炒る


実家に自生する茶の樹の新芽を摘んで、釜炒り茶を作りました。
参考にしたサイトは以下。
自家製釜炒り茶:http://www.geocities.jp/yamapon65/tisantisyou_kamairitya.html
フライパンで作る釜炒り茶:http://www.cam.hi-ho.ne.jp/nagi/suki-tukuru-kamairicha.html



驚いたのはフライパンいっぱいくらいの量の茶葉が炒ってもむうちに
小さな茶缶に1/3くらいの量になってしまったこと。。
私たちが普段飲んでいるお茶はいったいどのくらいの葉を消費してしまうのだろうと。
軽くショックを受けました。
ザバザバ飲んでるお茶は、樹の大量の生命やエネルギーをわけて貰っていることを改めて認識した次第です。

昨日、職場のKさん(師匠)に話してみたところ生葉からお茶にする行程で
1/5くらいのかさになるそうで。。
これからいっそう大切に飲みたいと思います。