ご報告です)))
美術 × 茶! の活動充実を図るべく
昨年の6月より日本茶インストラクター通信講座を受講して資格試験に合格することができました。
アラフィフの勉強は楽しく苦しく面白く辛かったです。
講座の概要と個人的に思いついた所感を書きだしてみましたので
ご興味ある方はお付き合いください
日本茶インストラクター講座の内容
1) 茶の歴史 2)茶の栽培 3)茶の製造法
4)茶の化学 5)茶の淹れ方 6)茶の健康科学 7)茶の利用
8)茶業概要 9)茶の品質審査と鑑定 10)インストラクション技術
上記の10科目で構成されており、
「茶」について歴史、農学、化学、健康科学、経済、法律、あらゆる角度からの基礎的な知識が得られる内容でした。
1)~4), 6)~8)は座学
5),9),10)はDVDを見ながら実習する実技です
お茶は農産物なので農学の要素が強い内容だったと思います
農学部の大学2年くらい?の座学+マニアックな歴史+プラクティスというイメージ
でギリギリついていけた内容でした。
これまで茶の歴史ヲタ自称していましたが、勉強してみて実力を自覚しまして
ヲタを自認するは当面撤回することにいたします。
教材は1)~3)、4)~7)、8)~10) 3回に分けて届きます
各回に課題があり、毎回先生からモチベーションを上げるような激励がコメントとして書き込まれてきました。
ありがたかったし、そこも勉強になりました。
9)茶の品質審査と鑑定 には茶葉と鑑定に必要な教材がドン!
と届きます。
DVDの教材も併せて学習しますが、なかなか鑑定の勘所が掴めず最後まで悩みました。
ちなみに、ここまでの課題で及第点を取れれば「日本茶アドバイザー」の資格が認定されます。
「日本茶インストラクター」資格はこの後に、座学と実技試験をクリアして取得する流れになっています。
次に日本茶インストラクター講座を受けて印象に残ったことを書き出して
みます(かなり個人的なメモです)
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・茶の消費量に関して世界の中で日本の個人消費は23位。世界の中においての日本人は大して茶を飲んでいないということがわかった。
ちなみに世界で茶を大量に飲む国民ベスト5は
1位トルコ、2位リビア、3位モロッコ、4位アイルランド、5位イギリス、
以下、香港、中国、カタール、スリランカ、台湾と続く
日本人は現在、茶を特化して愛好しているわけではない民であることが
良くも悪くも理解出来たことは講座を通しての一番の収穫だった。
(ちなみに国別消費では8位。日本で作られたお茶の多くを国外の人が飲んでいることになりますね)
↑美味いお茶淹れて飲んだことない人に飲んでもらう機会作ればいいじゃん!
つまりこれからよ!と思えた
・茶は「南方の嘉木」と呼ばれる植物
国内では経済的北限が新潟〜茨城のラインであることから、かつての東北以北のエリアの庶民にとって茶は身近にあるものではなく高級品。
日常的には白湯を飲んでいた。
対して西のエリアの庶民に多様な番茶文化が豊か(自家製茶など)
・かつて(明治期以降)日本は茶が一大輸出産業国であったが太平洋戦争により貿易が中断、
失速。戦後GHQの供給品に指定されたことで盛り返すが、1970年代を境に再び失速
・茶は食品。医薬品として承認されていないことから健康効果をうたうことは出来ない
(医薬品医療機器等法)
・しかしエピガロカテキンガレートは様々な効能が実証されている
・「生物的防除法」に興味が湧く
・2011年4月15日に「お茶の振興に関する法律」が成立している
お恥ずかしながら知らなかった。
茶業界の人々が自嘲気味に「お茶は斜陽産業だからさー」
と話す場面に何度か遭遇したので、この法案は全く生かされていないな。
というのが素朴な感想。
成立が民主党政権下であることから、民主党政権が作った法律をことごとく反故にしていった
あの政権がこの法律もシカトしたのでは?と勘ぐってしまう
・茶の分類はまず酸化酵素の働きによる発酵を軸にして
「不発酵」「半発酵(中発酵)」「発酵(完全発酵)」の3つに分けられる。
「緑茶」と分類されるものは不発酵で日本茶の多くがこれに当たる。
それに対して中国茶の多くが烏龍茶などに代表される微発酵や半発酵のお茶に分類される。
紅茶が発酵茶(酸化発酵)である
ややこしいのは紅茶、烏龍茶などの「発酵」は微生物によるものではなく、
酸化酵素の働きによるものなので厳密には「酸化」である。
では微生物を介在して作られるお茶は?
といえば中国の普洱茶に代表される黒茶で、円形や方形に固められていることから餅茶とも呼ばれることもある。
日本には平安時代の遣唐使の僧侶たちによって黒茶が伝えられたとされているが、
現存する黒茶はいまでは国内では4つだけ。
富山のバタバタ茶、高知の碁石茶、愛媛の石鎚黒茶、徳島の阿波晩茶が挙げられる。
これらの茶は茶葉を蒸した後、カビや微生物を介在させて発酵させるため「後発酵茶」と呼ばれている。
空気を好む微生物に発酵させる好気発酵と、空気を好まない微生物を介在させる嫌気発酵がある。
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なぜこの講座を受講したか?について
私は日本茶専門店で5年程接茶と販売に携わりましたが
知識が限定的で ふわっ としていた面をクリアにしたかった
という事がまず一つ。
それからお茶と美術を交差させる活動を行うに当たって、知識を体系的に身につけたい。
それが茶文化全体をリスペクトすることに繋がって、
茶を通して人間や社会を見直すきっかけになるだろうと考えました。
人間には耳で覚えるタイプと目で覚えるタイプがいると思いますが、
私は目で覚えるタイプで、ひたすらノートに要点を書き出して内容を脳に覚えさせました。
まず聞き慣れない言葉がたくさん出てきます。
その言葉たちに親しむことから初めて、最初は苦しいのですが、
繰り返し書き出して行くうちにスルッと腑に落ちる瞬間があります。
言ってみれば、知識が血肉化するとそこからようやく楽しくなる
「習うより慣れろ」です!
理解できるまで、地道に写経するように教科書の内容を書き出していくやり方は勉強法の一つとしてオススメいたします。
ふわっとしていた知識の解像度も上がったと思いますが、次なる疑問が湧いてきたのも事実で、
逆にわからないことが増えたところもあります。
アンテナを張って引き続き勉強する機会を作りたいです。
あと、これは結果的にという話ですが
歴史を除くカリキュラムが農学分野ベースであったことで
15年非常勤講師をしている東京農大の学生さんたちにここで少し歩み寄れたかな?
と思えたのが副産物的な収穫でした。
今後の抱負としては
お茶会みたいな展覧会を作りたいですし
展覧会みたいなお茶会をやりたい
まずは喫茶プロジェクトの ‘ぜんぶわすれる’ 頑張ってみます!
(試験編に続きます)